終活

 就活ではない。この終活が、シニア世代にじわりと広がっている。必ず誰にも訪れる死を前向きに準備しようという活動で、葬儀はどうする、墓はどうする、遺言は、などと子供には負担をかけない「死後の自立」を目指している。

 「墓友」なども出現している。「旦那の墓には入りたくないのよ、ねえ一緒に入ってお墓の中でも楽しくやりましょう」また「おひとりさま同士、来世も助け合いましょう」ということらしい。正月には、遺言ノート、エンディングノートを確認したり、書き換えたりすることも世の常識となっている。「明るい遺影写真展」「エンディングドレスのファッションショー」なども行なわれている。

 そして病院も変わり始めた。千葉県にある亀田総合病院、島根県にある松江赤十字病院では、霊安室は見晴らしのいい最上階にある。隠すように、隠れるようにしてきた遺体の搬送も堂々と正面玄関からが主流となってきており、それに出会った人々も自然に頭を下げているのが普通になってきている。

 わが砺波ではまだまだ忌み嫌うというレベルは出ないが、死に対する意識の地殻変動が起きていることは間違いない。どうせ死から逃れられないのなら、在宅で、生活の質を落とさず、与えられた命を楽しんで逝きたい、という人が増えていくのは確実だと思う(K)