女性が仕事に打ち込んで、生き生きしている。
朝ドラ「カーネーション」もそうだが、見ていて実に気持ちがいい。
その小原糸子に負けないAさんの話です。
Aさんの仕事は町の写真屋さんである。
戦後夫婦で立ち上げ、今年が60周年。
夫に負けないくらいにAさんもシャッターを切ってきた。
ものがたりの郷に入居されたのは昨年の10月で、83歳での癌末期だったが、誰が部屋に行っても愛想がよく、自分から話かける明るい人だった。
日本昔話なんかも、いくつも覚えていて、孫に話すように話し出す。
自然と笑顔になってきて、こうして子どものシャッターチャンスを作っていたのかとそのプロ根性に舌を巻いた。
商売も積極的で、小さな井波から、砺波、高岡と3店舗を構え、娘さんがあとを継いでいる。
ここでもカーネーションには負けてはいない。
残念ながら、3月5日に亡くなられたが、娘さんふたりに手を握られて「ありがとう」の声を掛け合っての感動的な最期となった。
また気丈夫らしく、トイレは最期まで自分でといい張り、転んで顔に痣が出来ていたが、わがスタッフの名人芸に達したエンゼルメイクで、晴れ晴れとした実にきれいな死顔であった。
前日に、オレンジを所望されて、実に気持ちよく飲み込まれたのが、こちら側の満足である。
朝ドラ仕立てにしてもいいくらいの人生であったことは間違いない。(K)
