正確にはサービス付き高齢者住宅を指す。昨年10月の法律改正で、高齢者専門住宅(高専賃)などがすべてこの名称に変わった。名称だけではなく、国交省管轄に厚労省が加わって、サービスは安否確認、生活相談が義務付けされ、その他医療介護も積極的に導入して、最終的には看取りまでも視野にいれるようにしてほしいというものに変わった。病院・施設はこれ以上増やさない代わりに、民間で「サ付き住」をどんどん増やして欲しい。そのために建設費、家賃補助を積極的にやるという方針である。
5月23日、東京で「サ付き住」のセミナーが開かれた。参加費は1万円。今後のためと思って参加したのだが、品川の会場は何と1000人を超えて溢れかえっていた。全国から、この流れに乗って、何とかしてやろうというメンバーである。通路にはボストンバッグやリックが置かれて、真剣にメモを取り、一言も聞き漏らすまいと静まり返って緊張した雰囲気が最後まで続いた。
超高齢化社会の到来を前にしての空前の財政難。小さな予算で、民間投資を最大限に引き出し、必要な医療介護を最も効率よく配分する。これが狙いであることは間違いない。こんな発言が飛び出したのには、驚いた。特養や老健などの施設も、職員を最小限にして必要な時に訪問看護、訪問介護をいれる。そのために24時間地域巡回型サービスの強化をやるというもの。いいとこだけのつまみ食い施策が、もっともらしく論議されているのである。医療介護を受ける側も、それを提供する医療介護従事者も、人間らしさからますます遠ざかるものだ。良心や優しさを押し殺して、必要最小限の福祉という方向だが、現場から押し戻さなければならない。みんな声を挙げよう。(K)