祈り 1/3

「祈り」、それは一体どのような意義を持つ行為なのか。
私たちが他者や超越的な存在と交わりを持つための手段の一つとも考えられる。
「他者」とはときに神であったり、自然であったり、あるいは墓所や特定の物体などの姿を取ることもあれば、目に見えない、とらえどころのない存在である場合もあるだろう。
人は祈りを通じて、自らの内面にある願望や感情を表現し、それを通じて外の世界とつながりを求める。
祈りの範囲は実に多様である。
時には日常的なささやかなお願いごとな場合もあれば、深い内心の対話の場として機能することもある。
例えば、東日本大震災をきっかけとして、多くの人々が海に向かい手を合わせた。
その祈りは、ただの願いというものを超え、悲しみや喪失感、さらには言葉に尽くしがたい感情を吐き出す行為となってい他のではないだろうか。
過酷な状況でも、祈りは人間が自身を保つための重要な術ともなる。
佐藤伸彦
祈り