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女性起業家

 見学が絶えない。押しかけ同然であるが、無碍にするわけにはいかない。少しでも医療福祉の向上につながればいい、という理事長方針でもある。
 いま岐阜・白川郷にいるのですが、明日午後に行きたいとメールをして来たのは、熊本の女性起業家である。25歳で地方銀行を辞めて、パソコンスクールを開いた。現在49歳だが、アロマ、気功、断食道場、化粧品開発と次々と展開している。自社ビルを持ち、無借金を貫いている。2月、8月は社長の充電と称して、海外、国内とちょっと気になる情報があれば、自分の眼で確かめに出かけている。ナラティブ情報も、母が目にしていた雑誌で目にして、これは、と思ったらしい。自他共に魔女ということになっている。
 しきりにメモをする。彼女の頭は、自分ならどうする、どの人脈を使うか、ポイントはここだな、と目まぐるしく回転しているのだ。そして、質問してみた。あなたのナラティブホームはどんなものになりますか。
 やはり熊本でやります。まず自分の人脈で医師もいますから、協力してくれる医師を探します。看護も、介護もアロマ人脈で大丈夫。夫が不動産はやっているので、アパート経営に乗り出すところは夫に任せることに。特徴は鍼灸、有機野菜、ヒーリングなどの代替医療をくっつけて、全国から入居者を集めるようにします。現在、南麻布に事務所を持っているし、化粧品の代理店が全国に出来つつあるので、そのネットワークが生きて来る。
果たして数年後、熊本ナラティブホームができているかどうか。楽しみである。


計算尺

 ナラティブの基本は「聞く」ことにあるのではないか。最近そう痛感している。これが意外に難しい。傾聴する側の気持の問題である。次の仕事が待っているのにという素振りをみせると、すぐに見抜かれてしまう。心から聞いていますよということが相手にわからないと、話す気にはなれないのは当然である。さりとて、この人だけに構っていては仕事にならない。介護の仕事の難しさで、容易に解決できるものではないが、心がけひとつで何とかなることもある。 一方で、相槌(あいづち)の打ち方ひとつで話が弾むという時は素直にうれしい。
 大正12年生まれのTさんは元国鉄マン。週刊朝日を購読するインテリでもある。男は概してプライドが高い。認知症の兆しはあるが、得意の話となると背筋がぴんとして、声に張りも出てくる。昭和30年代の北陸線の電化工事に携わった時である。先進の東海道線に学びに行くグループに選ばれた。東京での数ヶ月にわたる研修だが、出身の高岡工芸高校での基礎知識が生きたのである。いまではパソコンだが、当時は計算尺。これが得意なのである。計算尺の全国大会が開催されたりもしていた。一度、家にある古い計算尺を探し出して、持ってこなくてはならない。


長谷川式認知症診断テスト

「すごい!満点ですよ。もっと若ければ、東大合格間違いなし」「何言うとっがいね。今したこと、もう忘れとっがいぜ」。自分が認知症になったら、どうしよう。こんな不安に押しつぶれそうということで、任意後見が可能かどうか、司法書士にお願いした。この司法書士から、認知症の診断が必要ということで、長谷川式認知症診断テストを受けてもらったのである。その結果が満点。司法書士から、私の出る幕ではありませんと笑って帰られてしまった。

 Hさんは旦那さんも亡くし、姉妹も高齢ということもあり、実質的に自分しか頼れないと思っている。そんなこともあり、心配は尽きない。心配するだけの能力があり余っているといっていいかもしれない。地頭がいいのである。認知症の患者数は200万人を超えるといわれる。この対策こそ大きな課題であり、きめ細かな対策が求められている。

 ちなみに30点満点で、20点以上が異常なし。16~19点が疑いあり。11~15点が中程度の認知症。5~10点がやや高度の認知症。0~4点が高度となる。


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