ぽぴー村

 自ら出資して、経営に携わり、そして自ら率先して働く。雇用されない労働といい、それで「仕事おこし・まちづくり」をするという考え方で社会を変えていこう。そう呼びかけるワーカーズコープという全国組織がある。そこの活動家で、ひたむきに頑張る宮崎弘美さんが、砺波市宮森に富山型ディを開いたのは昨年9月で、ぽぴー村と称している。ものがたり診療所庄東の大家さんでもあるのだが、いろんな便宜を図ってもらっている。今回は見るからにエネルギッシュな宮崎さんを紹介する。

 この仕事に関わるきっかけは、看護師として福祉施設で働いていたが、老人が家に帰りたいと願いながら、家に帰れないという厳しい現実にみんなが悩んでいたこと。それなら自分でやってやろうと思って、10年前に高岡ぽぴーを立ち上げた。向こう見ずで、猪突猛進的なところがある。老人だけではなく、登校ができない問題児も抱えたこともあるが、体当たりで接し、自然と触れ合う中で、笑顔が取り戻すことができた。居場所が暖かければ、誰でも回復できるという手ごたえだった。

 砺波を選んだのは、農業ができるということ。このポピーは高齢の方だけでなく、障害を持った子供たちも対象にした富山型ディで、多彩な人が集ってもらうことを目指している。いまは敷地内の小さな畑だが、貸してくださる方があれば季節の野菜を入居の皆さんと一緒に作って、収穫したものを料理して楽しく食べるのが夢。手始めにとヤギを飼い始めた。

 また先日、103歳の知人のおばあさんを看取った。施設で不自由されているのを見た時、私に看取らせてとお願いしたのである。できるだけのことをしてあげたいとの思いだが、最後は玄孫(やしゃご)さんと手をつなぐことが出来て、笑顔を見る事ができた。この仕事が私に与えられた天職かもしれないと思うようになった、とか。
指図される仕方がない労働ではなく、こうしてやろうという自発的な労働が福祉の質を高めることは間違いない。仕事で悩む人は、このぽぴー村に来たれ!とにかく元気がもらえることは請け合いだ。